「Kamuy Mosir」シリーズより
日本には古くから自然の全てに神や魂が宿っているというアニミズム信仰が根付いている。カムイは山、川、石、木、動物、火、自然現象、衣服や道具、疫病にすら宿るとされ、調和し共存することこそが最も大切なことだと信じられていた。カムイたちはそれぞれ「カムイ・モシㇼ」と呼ばれる本来の住む場所から、様々な自然や物の姿を借りて人間世界へと出かけてくるのである。今や私たちが自然だと思っているものの全ては人為的な支配下にあり、不自然な違和感をまとっているが、それでも全のものには神聖なカムイが宿っている。私たちが忘れかけているこの世界で最も重要なことは、人間の生活を支えているいくつかの自然は、人間と同じように精神や情動を持ち、彼らなりの欲望や目的、意思を持っているということを認識することなのではないだろうか。